その他資産・負債②

資産

仮払金と仮受金について

企業が取引を行っていると、お金を支払ったり受け取ったりした時点では、金額が概算であったり内容が不確定な場合があります。その場合は仮勘定で処理します。

例えば、従業員が出張に行くための交通費等の概算額を前渡した場合は、「仮払金」(資産)勘定で一時的に処理します。反対に取引先から入金があったがその内容が不確定だった場合等は、「仮受金」(負債)勘定で一時的に処理します。

〇仮払金の仕訳を考えてみましょう。

①出張する従業員に旅費概算額として¥10,000を現金で前払いした。

①の仕訳:  仮払金¥10,000 / 現金\10,000

従業員へ支払った出張費や旅費は費用科目で処理をしますが、今回のように概算額で出張前に支払った場合は、金額が確定していないため「仮払金」で一時的に処理します。その後出張等から帰ってきて精算されたタイミングで費用科目として処理します。

②従業員が出張から戻り、上記の仮払分¥10,000を精算した。実際の交通費は¥8,900で、残額は現金で受け取った。

②の仕訳:  旅費交通費¥8,900 / 仮払金\10,000

       現 金 ¥1,100 /

概算払いした旅費の精算のタイミングで、実際にかかった金額を費用として計上します。その際に実際額と概算額の差額を計算し、不足分は追加で支払い、超過分は返金してもらいます。

〇仮受金の仕訳を考えてみましょう。

①取引先から¥20,000が普通預金に入金されたが、内容が不明であった。

①の仕訳:  普通預金¥20,000 / 仮受金\20,000

入金等があっても、その時点では内容が不明の場合は「仮受金」で処理します。内容が確定したタイミングで、正しい科目に振り替える処理を行います。

②後日取引先から、上記入金があった¥20,000について、売掛金の入金であると連絡があった。

②の仕訳:  仮受金¥20,000 / 売掛金\20,000

差入保証金について

契約の担保として、債務者が債権者に対して差し入れた保証金を「差入保証金」(資産)といいます。アパート等を借りる際に支払う敷金も保証金の1つです。

〇差入保証金の仕訳を考えてみましょう。

①取引先との契約に際し、保証金として¥200,000を普通預金から支払った。

①の仕訳:  差入保証金¥200,000 / 普通預金\200,000

差入保証金は資産科目のため、増加したら借方で処理します。

②事務所を借りる際に、敷金として¥150,000を普通預金から支払った。

②の仕訳:  差入保証金¥150,000 / 普通預金\150,000

消費税(仮受消費税・仮払消費税)について

消費税は、商品売買など物を買ったりサービスを受けたりした際に課税される税金です。

消費税は消費者(商品購入者)が支払う税金のため、私たち一人一人が負担しますが、税務署への納付は事業者(スーパー等)がまとめて行います。消費税のように税金の負担者と納付者が異なる税金を「間接税」と呼びます。

事業者に該当する企業は、売買取引で買手から受け取った消費税(売った際の代金に含まれる消費税)と売手に支払った消費税(買った際の代金に含まれる消費税)の差額を後から税務署に納付します。

消費税の記帳方法については、「税抜方式」「税込方式」の2つがあります。日商簿記3級の試験範囲は「税抜方式」のみとなっています。今回は「税抜方式」のみを取り上げていきます。

商品を仕入れた場合に、仕入勘定で処理するのは税抜価額になります。支払った分の消費税については、「仮払消費税」勘定(借方)で処理します。

商品を売上げた場合も同様に、売上勘定で処理するのは税抜価額になります。受け取った分の消費税については、「仮受消費税」勘定(貸方)で処理します。

消費税の仕訳について

〇消費税の仕訳を考えてみましょう。

①商品¥110,000(税抜価額¥100,000、消費税¥10,000)を仕入れ、代金は掛け取引とした。

①の仕訳:  仕入¥100,000 / 買掛金\110,000

    仮払消費税¥10,000 /

仕入勘定で処理するのは、税抜価額分だけになります。消費税額分は「仮払消費税」勘定で処理しましょう。

②商品¥330,000(税抜価額¥300,000、消費税¥30,000)を売上げ、代金は掛け取引とした。

②の仕訳:  売掛金¥330,000 /  売 上 \300,000

               / 仮受消費税 \30,000

税抜価額分を売上勘定で処理し、消費税分については「仮受消費税」勘定で処理します。

ー発展ー

ここからは発展の仕訳処理です。余裕のある方や消費税の処理の仕方が気になる方は確認していきましょう。

③決算となり、仮払消費税と仮受消費税の差額を未払消費税とした。貸借対照表上、仮払消費税¥330,000と仮受消費税¥500,000が計上されている。

③の仕訳:  仮受消費税¥500,000 / 仮払消費税\330,000

                 / 未払消費税\170,000

消費税の支払い額が確定すると、「未払消費税」勘定で計上します。その際に、期間中計上していた仮払消費税や仮受消費税は振替処理をします。仮払消費税は計上時に借方で計上しているため、貸借対照表上も借方残となっています。反対に仮受消費税は計上時に貸方で処理しているため、貸借対照表上は貸方残となります。具体的には上記仕訳のように、仮受消費税(売上分)と仮払消費税(仕入等分)を相殺して仕訳を計上します。

④消費税の納付期限が到来したため、上記の未払消費税分¥170,000を普通預金から支払った。

④の仕訳:  未払消費税¥170,000 / 普通預金\170,000

消費税等の税金は納付期限が決められており、その期限までに支払うことになります。企業が消費税を支払った際は、未払消費税の減少で処理を行います。消費税の取引の流れは以上になります。

最後の挨拶

今回はその他資産・負債の第二弾として少し細かな項目を取り扱いました。旅費の概算計上(仮払金)や消費税の取扱いなど少し難易度の高い論点を取り扱いましたので、しっかり復習して理解を深めていきましょう。また、馴染みの少ない取引も多くイメージが持ちにくい場合もあると思いますが、練習問題等を使用しながら少しずつ問題に慣れていきましょう。特に消費税の論点については、実務でよく使用する部分になりますので、覚えておいて損はないと思います。

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