現金取引について
本日は、「現金」取引についてみていきます。
現金と聞くと、紙幣や硬貨をイメージすると思います。しかし、簿記の中で現金とはもう少し広い意味で捉えます。紙幣や貨幣はもちろん、現金化できる小切手や為替証券も含め現金と呼ばれます。
ー小切手ー 小切手は、現行の当座預金を引き出すために使用する証券です。
ー為替証書ー 郵便局などで通貨に変換できる証書です。
現金仕訳と勘定整理
次は現金取引の処理について考えていきましょう。初めは仕訳処理からです。
①得意先に商品を¥20,000で売上げ、代金は小切手で受け取った。
小切手を受け取ったら、現金化できるので「現金」科目で処理します。
①の仕訳 現金¥20,000 / 売上¥20,000
②売掛金¥50,000の回収として、普通為替証書を受け取った。
為替証書も現金に含まれるので、受け取ったら現金で処理します。
②の仕訳 現金¥50,000 / 売掛金¥50,000
続いて上記の取引を勘定整理してみましょう。
※勘定整理については、過去のブログに記載しています。
今回の処理を現金勘定に整理するとこうなります。
簿記では取引を仕訳にし、勘定に整理するまでが一連の流れになります。勘定整理の仕方もしっかり復習しておきましょう。
現金過不足について
簿記でよく出てくる現金過不足について、見ていきましょう。
会社内で現金取引は日々発生します。そのため帳簿残高と実際有高の確認をし、不一致がないかチェックしています。両者に差額がある場合は「現金過不足」と呼ばれ、原因を確認します。
現金過不足が発生した場合、原因が判明している時はその処理を行い、現金勘定と実際有高を合わせます。原因が不明の場合は、一度「現金過不足」勘定で処理をし、現金勘定を実際有高合わせます。その後に原因が判明した場合は、現金過不足勘定と処理を行います。
現金過不足の仕訳と勘定整理
次は現金過不足の処理について考えていきましょう。初めは仕訳処理からです。
①現金の確認をした所、実際有高が¥30,000に対し帳簿残高は¥29,000だった。
①の仕訳の現金勘定と実際有高の関係を整理してみましょう。
上記のように、勘定と実際有高に不一致が生じています。勘定残高を実際有高に合わせて仕訳を起こします。今回は現金過不足の原因が不明のため、相手科目は「現金過不足」で処理します。
①の仕訳 現金¥1,000 / 現金過不足¥1,000
これで現金勘定と実際有高が一致しました。
②現金過不足の原因を調べたところ、¥800円は水道光熱費の支払いの処理漏れと判明した。
②の仕訳 水道光熱費¥800 / 現金過不足¥800
③現金過不足のうち、¥1,500は売掛金回収の処理漏れと判明した。
③の仕訳 現金過不足¥1,500 / 売掛金¥1,500
続いて上記の取引を勘定整理してみましょう。今回は「現金過不足」勘定です。
現金過不足が発生した場合は上記のように処理していきます。今回のように、「現金過不足」の残高が¥0にならずに残っている場合は、引き続き調査を続けていきます。
預金取引について
預金には様々な種類があります。皆さん馴染み深い「普通預金」や、銀行との当座契約により取引ができる「当座預金」などがあります。
当座預金は、銀行と当座取引契約を結ぶことにより、預入や引出しができる銀行預金です。当座預金の引出しには「小切手」が必要になります。
預金仕訳と勘定整理
次は預金取引の処理について考えていきましょう。初めは仕訳処理からです。
①普通預金口座を開設し、現金¥1,500を預け入れた。
現金を預け入れるため、現金の減少と、普通預金が増加する仕訳を処理します。
①の仕訳 普通預金¥1,500 / 現金¥1,500
②当座預金口座を開設し、現金¥2,000を預け入れた。
当座預金の増加と現金の減少の仕訳を処理します。
②の仕訳 当座預金¥2,000 / 現金¥2,000
③得意先から売掛金¥5,000を小切手で回収し、当座預金に預け入れた。
※小切手受け取りの処理について
小切手を受け取ると、すぐに現金化できるため、現金科目で処理します。しかし、今回のように小切手を受け取り、当座預金に預け入れる場合もあり、その時は当座預金の科目で処理します。
③の仕訳 当座預金¥5,000 / 売掛金¥5,000
④仕入先の買掛金¥1,000を、小切手を振り出して支払った。
買掛金の支払いのため買掛金の減少と、小切手の支払いなので当座預金の減少で処理します。
④の仕訳 買掛金¥1,000 / 当座預金¥1,000
<小切手の処理>
・小切手を受け取る → 「現金」増加処理 ※当座預金に預け入れた → 「当座預金」増加処理
・小切手を振り出した → 「当座預金」減少処理
小切手を振り出すとは、小切手を相手に渡し当座預金から支払うということ。小切手を受け取った相手が、銀行に小切手を持っていくと現金に変換でき、その際に小切手を作成した者の当座預金口座からお金が引き出される。
続いて上記の取引を勘定整理してみましょう。今回は「当座預金」勘定です。
取引を整理すると、上記のようになります。
当座借越について
当座預金の契約をする際に、銀行と「当座借越契約」を結ぶことで、当座預金残高を超えて支払いを行うことができます。当座預金残高が足りなくても、借越限度額までは小切手を振り出すことができ、そのことを「当座借越」といいます。当座預金は資産科目のため、残高は借方になりますが、当座借越をしている場合は、実質的には銀行から一時的な借入をしていることと同じになるため、貸方残高になるので注意が必要です。
最後の挨拶
今回は具体的な取引や仕訳処理・勘定整理についてみてきました。前回までの導入と比較するとより試験問題を解く際に必要な知識になってきますので、理解を深めていきましょう。また、仕訳の処理については様々な取引に触れることで理解が深まったり、処理スピードが速くなったりするので、ぜひ問題集などを解いてみましょう。
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